10年越しで幼馴染みに告白された話する

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1: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:09:48 ID:dFImTkAmH
たったら書きます

4: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:12:23 ID:SHQuTVSsE
聞いてやらんこともない

5: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:12:26 ID:QSCchzFQ5
はよ

読むかどうかはスペック次第

7: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:13:11 ID:dFImTkAmH
書かせて。てか書く。

1、22歳男。社会人一年目。フツメンのはず

8: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:15:26 ID:dFImTkAmH
話は中学3年から始まります。ちと長いです。
書き溜めありますのでぼちぼち投下します。

9: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:16:09 ID:GjugHlLNG
映画化決定

10: 2014/07/25(金)21:17:00 ID:dFImTkAmH
俺は小学5年の頃、少しイジメにあっていた。つってもまぁ、変なあだ名を
付けられてからかわれたり、無視されたり、私物を隠されたり壊されたり、
って程度の軽いものだ。

イジメが始まった当初には、いろいろ悩んだり軽く絶望みたいなものを感じ
たりもしていたけど、ちょっかいかけてくる奴らが、俺が困ってたり泣き
そうになったり先生に助けを求めたり、そんなのを見て喜んでるんだって
気づいて、悩むのが馬鹿らしくなった。
それから俺は開き直って、感情を表に出さず、仕掛けられる嫌がらせも全然気に
しない風を装って日々を過ごしていたら、いつの間にかイジメは終息していた。
結局、イジメが始まった原因は分からない。そこから解放された理由も分からない。
そもそも、イジメってもの自体がそういうものなのかも知れないが。

14: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:18:23 ID:QSCchzFQ5
>>10
反応薄いから興味なくなったんだな

12: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:18:12 ID:OsZCxK4AE
いじめに軽いも重いもないと思うよとマジレス

21: 2014/07/25(金)21:30:30 ID:dFImTkAmH
>>12
軽いというのは、暴力は振るわれなかった、という程度の意味です


さて、付き合うことになったとは言え、何しろ俺はこれまで友人関係でさえ
まともに築いてこれなかったわけで、まして彼女なんて、もう何をどうすれば
いいのか、さっぱり分からない。
さらには、やっぱりからかわれてるだけなんじゃないかって不安も拭いきれない。
何しろ、女の子が俺に好意をもって告白してくるって事自体が不可解だ。


そんなわけで、二人でいるとまず会話が続かない。俺沈黙がちwwwN子が気に
して話を振ってくれても、俺ぶったぎるwwwwwwもう最悪www

おそらくN子がY美に相談したんだろうと思うが、ある日を境に、休憩時間には
俺の机にN子、Y美、T崎の3人がやってきて話すことが多くなった。
話題は主に、俺の小学校時代の恥ずかしい話や情けない話や痛々しい話など。
Y美自重wwwだけど、イジメの件についてだけは触れないでいてくれてた。
もちろん、N子についての話も聞いた。なぜかこれもY美からwwwwww

13: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:18:16 ID:SHQuTVSsE
おもんないからセクロス描写はよ

15: 2014/07/25(金)21:18:37 ID:dFImTkAmH

期間はほんの数ヵ月、さらにイジメを受けていた最中にも以前と変わらず
接してくれていた友達も幾人かはいたため、不登校とか、PTSDだとか、
そんな深刻な事態には至らなかったが、それ以来、他人が信じられなく
なってしまって、交遊関係は一気に崩れ去った。

中学に入っても依然そのことは尾を引いていて、新たな友達はできたものの、
付き合いはごく浅く。それは今思えば、いつ裏切られても深く傷付くことの
ないように、って無意識の防衛手段だったように思う。

17: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)21:20:36 ID:15w7yZSv6
読んでるぞ

18: 2014/07/25(金)21:21:02 ID:dFImTkAmH
そんな面白味のない中学生活も3年目、6月中頃の放課後のことだ。同じクラスの
一人の女子に話しかけられた。彼女の名前はT崎。小学校は同じだったが、それ
までほとんどまともに会話したことはない。

T崎「ね、1くんって、今付き合ってる人とかいるの?」

そんなもん、いるように見えるかよ。嫌味か?・・・って思ったけど口には出さず、
いいや、いないよ、とか答える。

T崎「そっか。ちょっと話したいことがあるんだけど、一緒に来てくれる?」

そう言って、俺についてくるよう促す。
T崎は、小柄で童顔でショートヘアの可愛いメガネっ娘だ。俺の好みど真ん中では
あるが、向こうが俺なんかに好意を持つ理由はない。これはアレだな、罰ゲームって
ヤツだな。ここにきてとうとうイジメ再来か?

ちょっと欝になりながらついて歩いてると、

T崎「あ、誤解のないように言っとくけど、1くんに話があるのは私じゃないからね」

ニコニコしながらそう言う。そりゃまあそうだろう、最初っからそんな期待なんかしてないよ。

19: 2014/07/25(金)21:23:59 ID:dFImTkAmH
スレ立てなんて初めてなので、レスがつくだけでドキドキするwww


仏頂面で歩いていくと、おそらく目的地。視聴覚準備室の扉の前に着いた。
T崎が、連れてきたよ、とか言いながら引き戸を開ける。
中には、さらに二人の女子がいた。

一人は、よく知っている子だ。家が近所で、保育園からずっと一緒のY美。
小学校の中頃までは、しょっちゅう一緒に遊んでいた。いわゆる幼馴染みってヤツ。
Y美は、ゆるくウェーブのかかった栗色の髪を肩甲骨あたりまで伸ばし、
肌は色素が抜け落ちたみたいな白、大きな眼に長い睫毛、そして鮮やかな
ピンク色の唇、と、まるで髪を染めてちょっと化粧をしているような外見だが、
これが全部天然モノのすごい美人だ。

ちなみに、小学校低学年の頃はマジ天使だったが、口が悪いwww

中学に入ってからは俺の方から距離を置いてしまっていたが、Y美は俺が
イジメられていたときにも変わらずにいてくれていた、数少ない友人の一人だ。
この場にY美がいるってだけで、俺の警戒心はかなり和らいでいた。

20: 2014/07/25(金)21:26:03 ID:dFImTkAmH
そしてもう一人。大きいwww

今は違うクラスだが、2年の時には同じクラスだったN子だ。身長が、ちょうど
平均程度の俺(中3当時165cmくらい?)よりもちょっと高い。背中の中ほどまで
あるロングヘア。
そんな大柄なN子が、たぶん150cm前半くらいしかないだろうY美の陰に隠れて
・・・いや、隠れようとして明らかに失敗している。

しばらくの間、Y美の後ろでモジモジしていたN子だったが、それをY美が俺の
正面へ押し出し、鬱陶しいからさっさと言ってこい、みたいなことを言う。
間近で見たN子は、ふだん身長にばかり意識が向いて気づかなかったが実は
かなり可愛くて、それにとてもいい匂いがした。

身長差を気にしてか、少し猫背中腰で俺に話しかけるN子。恥ずかしがる仕草が
とても可愛くて、俺も緊張して、何を言って言われたか全然覚えていないけど、
とにかく俺たちは付き合うことになった。

22: 2014/07/25(金)21:35:38 ID:dFImTkAmH
俺とN子がだいぶ打ち解けてきた頃、お互いの呼び方をどうするか、ってことが
話題になった。
その時はN子も俺も、お互い「名字+さん(くん)」と呼びあっていて、それを見かねた
Y美が「あんたら全っ然彼氏彼女っぽくない。つまらん」とダメ出ししたからだ。

N子「じゃあ○○くん、なんて呼んだらいいかなぁ?」
俺「んー、それじゃ1(名前呼び捨て)でいいよ。だいたいみんなそう呼んでるし」
N子「そっかー、でも、せっかくだから、私だけの呼び方があったりしたら嬉しいかな」
俺「えー、それは難しいな」

T崎「いちくん、ってのはどうかな?昔はそう呼ばれてたじゃない」
Y美「あー、そうだった、それなんか懐かしいな」

それは、俺が小学校低学年の頃に呼ばれてた名前だ。「名前の最初の一字を伸ばす+くん」、
例えば、田中将大をマーくんと呼ぶみたいな。

N子「うん、いいね、それ。いちくんかぁ。なんか可愛いー。じゃあ、いちくん、って呼んでいいかな?」
俺「うん、まぁいいけど」

正直かなり恥ずかしかったが、N子が期待に満ちた目でこちらを見詰めてくるので、
イヤとは言えなかった。

23: 2014/07/25(金)21:43:02 ID:dFImTkAmH
N子「いま他に誰か、いちくんのこといちくん、って呼んでる人はいる?」
俺「んー。いや、いない」
N子「それじゃ、これは私だけの名前だね。もうこれからは、他の人にいちくん、
って呼ばせちゃダメだよ。Y美もT崎も言っちゃダメだからね」

Y美「言わないよ、気持ち悪いwww」
T崎「うん、ぜったい無理ーwww」

お前ら、自分で振っといてそれはないだろwww

俺の方は、普段Y美たちがN子を呼ぶときの「名前の上二文字」が気に入って
いたので、それに決めた。
その日俺は 、嬉しそうな顔で必要以上に何度もいちくん、いちくんと呼んで
くるN子を、とても可愛いなと思いながら見ていた。

24: 2014/07/25(金)21:46:43 ID:dFImTkAmH
一学期の期末試験直前、事件が起きた。

教室移動中だったか、N子たちが傍にいない時間、同じクラスのA山(女)が
寄ってきて、俺に話しかけてきた。

A山「1くんってさ、いまN子と付き合ってんの?」
俺「うん、まぁ」
A山「N子さぁ、援交とかしてるって噂だよ。大丈夫?Y美たちにからかわれてるんじゃないの?」

頭が真っ白になった。まさか、そんな。
単なる噂だ。いや、そもそも本当にそんな噂があるのか?M樹が悪意ででっち
上げた話じゃないのか?・・・でも、どうしてそんなことを?

N子たちを信じたい気持ちは当然強かったが、数年来の付き合いの人間不信も
頭をもたげてくる。
そうだよ、あんな可愛い子が、なんで俺みたいなのを好きになったりするんだよ。
考えてみりゃ不自然だよな。からかわれて、裏で笑われてるって方がよっぽど納得できるよ。

25: 2014/07/25(金)21:49:58 ID:dFImTkAmH
一度気になりだすと自分でもどうにも止められず、悪い方にばかり考えが向いて、
その日は放課後まで悶々として過ごした。休み時間にお喋りしにきたN子に
どうしたの?と心配された。
放課後になると、俺は話したいことがあると言ってN子を学校近くの公園へ誘い出した。
俺の様子が普段と違ったので、N子もちょっと神妙な表情だった。

公園に着くと二人並んでベンチに座り、しばらく気のない雑談を交わした後、
周囲に人気が無くなったところで、俺は思いきってA山に聞かされた内容をそのまま、
N子に伝えた。しばらく黙り込んだあと、

N子「・・・そのこと、いちくんはどう思ってるの?」
俺「N子やY美たちがそんなことしてるって、信じたくないけど、でも・・・」
N子「私が、そんなの嘘だよ、って言ったら、いちくんは信じてくれる?」

情けない話だが、ここで俺は即答できなかった。N子を信じると言ってあげられなかった。

N子「そっか。じゃ、ちょっと長くなるけど、私の話、聞いてくれるかな」

この時点でN子は既に鼻声だった。俺はN子の方を見ることもできずに、ただ頷いた。

26: 2014/07/25(金)21:54:58 ID:dFImTkAmH
以下、N子の話をまとめて

N子の父親は、N子がまだ幼かった頃に事故で亡くなっている。それ以来、
ずっと母親ひとりでN子と兄の二人を養ってきた。
N子はその長身のせいで、小さい頃から大女とか何とか言われて、よく
からかわれていたらしい。

それでも小学校の間には何もなかったが、中1の夏休み明けに、問題が起こった。
N子が、援交もしくはいかがわしいバイトをしてるんじゃないかって噂が流れ出したんだ。
発端は、たぶん妬みからだろう。N子の家は母子家庭だが、母親の仕事の収入
だけでも十分裕福に暮らせている。
だけどそれを、事情に詳しくない者が悪意をもって見れば、母子家庭なのに
貧乏でないのはおかしい、何か後ろめたい事で稼いでるんじゃないか、という
ことになるらしい。さらには、長身で胸の大きいN子がちょっと大人っぽく
見えるってことも関係してるかも知れない。

もちろん根拠なんて何もない。誰か目撃者がいたわけでもない。信憑性のない、
単なる噂だ。それでもきっかけとしては十分で、N子はクラスのDQN達から、
イジメの標的にされた。
ここで登場するのが、当時すでにN子と仲の良かったY美だ。ある日、泣いている
N子を見て切れ、DQN女に掴みかかった。しかしあえなく撃退され、その日からは
Y美も嫌がらせを受けることになる。

それから数日後、とうとうN子は学校に行けなくなった。

27: 2014/07/25(金)22:01:54 ID:dFImTkAmH
重いし人いない・・・でも書くけど。


学校を休み始めて二日目、Y美が家を尋ねてきたが、追い返す。それから何日も
Y美はN子の家に訪れ、とうとうN子が根負けしてY美を家に上げた。その時のY美は、
あちこち絆創膏だらけだったそうだ。毎日毎日、DQNと喧嘩していたんだろう。
それを見たN子は、そもそも自分をかばってくれようとしたY美が理不尽な嫌がらせを
受けているのに、自分が逃げててどうするんだ、と思ったらしい。

その日久々にY美と話したN子は、翌日から勇気を出して登校することを約束する。

翌日、10日ぶりくらいに学校へ来たN子に、早速DQN女が近付き、今まで男の家を
泊まり歩いてたんだろ、みたいな事を言ってきた。
N子はすっと立ち上がり、DQN女を睨み付ける。N子がちゃんと背を伸ばして立てば、
10cm以上の身長差で見下ろす格好になる。怯むDQN女。なんだ、今までこんな相手を
怖がってたのか。
「そんなことしてないよ。なんでそんなこと言うのよ。嘘つき!」クラスメイトが
注視する中、精一杯の大声で怒鳴り付けた。

これでスッキリ終わり、ってわけにはいかなかったみたいだけど、N子とY美に対する
嫌がらせは明らかにトーンダウンし、やがて収まった。逆に、DQN連中の方がクラス中
から白い目で見られ、居場所をなくしていたらしい。
俺にこの話を振ってきたA山は、このDQN連中の一人だった。

28: 2014/07/25(金)22:05:37 ID:dFImTkAmH
まとめるとこの程度だけど、実際N子が話していた時間は一時間くらい
あったんじゃないだろうか。時々つっかえ、鼻をすすり、指で涙を拭い
ながら話し終えたN子は、俺の方ではなく、まっすぐ前を向いて、

N子「これでおしまい。最後まで聞いてくれてありがとう」

ショックだった。イジメを受けていたのは俺だけじゃない。N子や、あの
Y美まで。しかもそんな話し辛いことを打ち明けてくれた。
それなのに俺は4年も前のことを未だに引き摺って、いじけて、知られたく
なくて。すごく惨めな気分だった。

俺「ごめん・・・俺、N子のこと疑ったりして。最低だった」

俺も、N子に話さなきゃいけない。決意して、

俺「俺も、N子に聞いてほしいことがあるんだ。俺も、小学校の・・・」
N子「知ってるよ。Y美から聞いたから」

・・・え、聞いちゃってたの?てか話すなよY美 orz

29: 2014/07/25(金)22:08:25 ID:dFImTkAmH
N子「さっき話した、Y美が家に来てくれた時に。小学校の頃、こんなすごいヤツがいたんだよって」

凄いヤツ?いや、俺は全然凄くなかったけど?

N子「そのひとは、どんな嫌がらせをされても、笑って平然としてたんだって。すごくカッコ
よかったって。いちくんのことだよ」

確かに、給食時間に箸が折られているのに気づいて素手で食べ始めたり、教室に入ると
机がなかったから床に正座して授業を受けようとしたり、そんなことは何度かあった。
でもそれは、決して平然としてたわけじゃない。内心は悲しくて悔しくて、泣きそうだった。
ただそれを周りに悟られるのが嫌で、開き直って無表情を通していただけだ。なにをどう
間違っても、カッコ良くなんかない。

N子「でも、そのことが解決してからは、ちょっと人が変わっちゃったみたいだって言ってた」

うん、それは自分でもそう思う。

N子「それで、その話を聞いて 、どんな人なのかなって。気になって。Y美に聞いたら教えて
くれて、2年では同じクラスになれて」
N子「それで、ずっといちくんのこと見てたら、好きになっちゃって」

これって俺、とんでもない過大評価されてんじゃん。なんかこう・・・大丈夫なのか?
そもそもおおもとの気持ちが、Y美の思い違いによる誤解だぞ?www

30: 2014/07/25(金)22:13:17 ID:dFImTkAmH
その後はN子の身長コンプレックスで、もっと小柄な子のほうがいいんじゃない
だろうかとか悩んで、Y美に打ち明けたら、「あいつがそんな事、気にするはずがない」
だとか。いや、正直ちょっと気にしてました期待裏切ってスミマセンwww
それで、勇気を出して告白してくれたそうだ。

ここでN子は、ようやく俺の顔を見てくれて、

N子「いちくん、もう一度聞くよ。私のこと、信じてくれる?」
俺「うん、信じるよ」

今度は素直に言えた。N子は、ここに来て初めての、いつも通りの可愛い笑顔。
ここでN子を信用できなければ、俺はもう一生誰も信じることはできないだろう。
そう思った。

俺「俺さ、自信がなかったんだ」
N子「え?」
俺「今まで、どうしても引っ掛かってた疑問、てか不安があって。N子みたいな
可愛い子が、なんで俺なんかを好きになってくれたんだろうって」

ここまで言って、つい「可愛い」なんて口走ってしまったことに気付き、顔が
熱くなる。ふと見ると、N子も俯いて顔を紅くしている。焦る俺。

俺「いやっ、ごめっ、つい!いっつもそう思ってるかr」

俺、盛大に自爆。体が火照って、変な汗が出た。だがしかし俺だけじゃない、
N子も道連れになってたwwww

31: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)22:15:51 ID:z6CQhusHX
みてるよー
重いね

34: 2014/07/25(金)22:19:30 ID:dFImTkAmH
>>31>>33
ありがとう。投稿何回も失敗するので間があいちゃってます。すみません。


初めてのキスは、10月頃のこと。

学校では毎日会ってたし、週末もデートしてたけど、なんとなく昼間の時間帯には
そんなムードにはならないような気がして、俺はN子を夕暮れ時の公園に呼び出す
ことにした。

住宅街の外れにあるその公園は、N子の家から自転車で1分ちょっと。俺の家からは
自転車で20分。しかし欲望の前ではその程度の距離、ゼロに等しい。

公園のベンチに並んで腰掛け、他愛もない会話。立って並ぶとN子の方が高いが、
座って並ぶと俺の方が高くなる。人体の神秘www

N子「ちょっと寒いね」
俺「じ、じゃあ、も少しこっちおいでよ」

ガチガチに緊張しながら、N子の肩に回す腕。おいでよ、なんて言っておきながら、
引き寄せる勇気はない。そおっと置くだけ。
そのかわりに、N子の方から体を寄せてくる。鼻をくすぐるいい匂い。

・・・で、そのまま固まり、キスどころか会話もないまま時間が過ぎて「ゴメンね、
もうそろそろ帰らなきゃ」で、この日は時間切れ解散ーorz

家に帰って、ひとり反省会。あれはマズかった、ここはもっとこうするべきだった、
などとうだうだ考え、後日再挑戦。
そしてそこからさらに二回、空振り。気のせいか、学校でのY美やT崎からの視線が厳しい。

32: 2014/07/25(金)22:15:55 ID:dFImTkAmH
試験が終わり、夏休み。

N子とは、度々連絡を取って、会っていた。そりゃもう、週に3回くらいデート
してたんじゃないかってくらい。
会うのはショッピングモールだったり公園だったり、何か特別な場所に行ったりは
しなかったけど、あの試験前の日の会話以来、もうN子と二人きりでも少しも緊張
なんかしなくなっていた。

むしろ、時々一緒に付いてくるY美やT崎が邪魔だったwww

夏休みでのN子との進展は、手を繋いだだけ。身長では俺より若干大きいくらいの
N子だけど、繋いだ手は思ったより小さくて、柔らかかった。恋人繋ぎ興奮したwww
その記憶だけで抜けたwwwww

33: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)22:16:00 ID:7ZNBXsNSa
見てるぞ~

35: 2014/07/25(金)22:23:52 ID:dFImTkAmH
4回目のチャレンジ。

肩を抱くまではもう慣れたもんだ。そこから思いきって腕に力を込め、ぐっと
N子の体を引き寄せる。よし。できた。
するとN子が、頭を傾げて俺の肩に・・・は乗らず、俺の側頭部にふわり、と髪の
感触。どこか刺激的で、甘い香り。そわそわする俺。

顔だけN子の方に向き、髪に鼻を近付け、そーっと深呼吸wwwたまらんwwwwww

するとN子が「?」って感じで俺の顔を覗いて、目が合って、そっと瞑って。
そのあとは、悩む間もなく体が動いてくれた。できるだけ優しく、お互い軽く
結んだ唇で触れるだけのキス。たぶん僅か数秒。

キスのあと、勢いでぎゅっと抱き締める。そのままN子の耳許で、「N子、大好きだよ」
と呟く。俺の背中に回したN子の腕に力が入り、「私も。いちくん、大好き」
もう一度キスして、抱き締めて、時間が流れて

俺「そろそろ、帰ろっか」
N子「んー、まだ一緒にいたい」
俺「ダメだよ、遅くなっちゃうよ。また今度」
N子「うぅー」

甘える可愛いN子をなだめ、体を離して立ち上がる。手を差し出し、N子はその手を取って、

N子「あれ?・・・えーと、困ったな・・・いちくん、私、立てないw」

見ると、N子の膝が震えていたwww
結局、その日の帰りは少し遅くなった。

ついでに翌日、学校でY美に「よくやった」とか言われた。女子って友達の間でそんな
話しちゃうの?ひょっとして全部筒抜け?

36: 2014/07/25(金)22:27:04 ID:dFImTkAmH

中学を卒業し、高校へ。

俺とY美は、中学から徒歩5分も離れていない公立の進学校へ。N子とT崎は将来の
目標のため、とある特殊な学科のある女子校へと、それぞれ進学した。N子の学校
までは、電車で30分ほど。

N子は進学にあたって、俺と会える時間が減ることについて悩んでいたので、俺は
できる限り毎日、駅までN子を迎えに行くことを約束していた。
俺は放課後になるとまっすぐ家に帰り、自転車で駅へ向かって改札前でN子を待ち、
合流するとN子の帰りのバスの時間まで駅前のショッピングモールで二人でぶらぶら
したり話したり。それが日常になった。


ところで俺は、何かに没頭していたり、考え事をしていたりするときに話しかけ
られると、ついつい生返事をしてしまう悪い癖がある。
そしてもちろん、あとになって何の話をしていたのかは思い出せない。

N子「それでさっきの話なんだけど、いちくんだったらどっちがいいと思う?」
俺「え?あぁ、えーと・・・」
N子「もぅ!また聞いてなかったー。私もう話するのやめる」
俺「いや、聞いてたよ。聞いてたけど俺ちょっと考え事してて」

ここで下手糞な言い訳をしてしまうのがさらに悪いところだ。N子は完全に怒って、
いつもよりかなり早いバスで帰ってしまった。

37: 2014/07/25(金)22:28:40 ID:dFImTkAmH
俺は自分が悪いくせに何だか意地になってしまって、電話でもメールでもフォローを
入れないままにしていると、夜になってY美から電話がきた。

Y美「聞いたよ。ケンカしたんだって?」
俺「ん、まぁケンカつーかN子が一方的に怒って」
Y美「あんたが悪いんでしょー。N子話してるのにちゃんと聞かないから」
俺「それは悪かったと思ってるよ」
Y美「あたしに謝ったって意味ないし。今からすぐN子に電話して謝りなよ」
俺「・・・分かったよ」

そして言われた通り、すぐN子に電話すると、「はい、なに?」と不機嫌そうな声。

俺「今日は悪かったよ。ごめん」
N子「なんのこと?」
俺「N子の話、ちゃんと聞いてなくて。ごめん」
N子「もうしない?」
俺「しない。気をつける」
N子「じゃあ許す。・・・私のこと、好き?」
俺「うん、好きだよ」
N子「うー、やっぱり電話じゃなくて、会って聞きたいよ。今日あんまり話できてないし」

あんまり話せてないのは、N子が怒ってさっさと帰っちゃったからじゃないかと思ったけど、
そんなことは言えない。

俺「じゃあ、会って話そう。今から行くから。20分後に▲▲公園で。いい?」
N子「・・・うん」

▲▲公園ってのは、N子と初めてキスした公園。今回のことがきっかけで、
ケンカした後はこの公園で会って仲直りする、ってのが定番になった。

38: 2014/07/25(金)22:32:40 ID:dFImTkAmH
1学期も半ばになると、俺にも毎日つるんで遊んだりバカ話したりする友人が
できた。Y田とK本という。

Y田は長身イケメンで、物静かな男。私服のセンスもよくて格好いい。しかし
対人スキルは俺以下で、学校で会話する相手は数えるほどしかいない。

K本は背が低くて、ちょいブサちょいデブ。だけど話すとすごく面白くて飽きない。
ちゃんと相手に合わせて話題を選ぶ気遣いもできる。俺やY田にはできない高等技能だ。


7月下旬、試験が終わって終業式の日。その週末は地域の夏祭りだ。

K本「1、お前も一緒に祭り行くよな」
Y田「いやいや、1は彼女と行くに決まってるだろ」
K本「なんだと!おい1、お前彼女と俺達とどっちを取るんだ?!」
俺「いや彼女だけど」
K本「即答かよ。ちょっとは悩めよ」
俺「悩まなきゃいけない要素がないだろ」
K本「ちっ、邪魔してやる。なぁY田」
Y田「俺はやめとくよ。1はともかく、彼女に悪いし」

Y田、俺にも悪いよ。

39: 2014/07/25(金)22:34:20 ID:dFImTkAmH
夏祭り当日の夕方、N子との待ち合わせ場所に行くと、N子はもう来ていた。
浴衣がよく似合っている。

俺「お待たせ。・・・ひとり?」
N子「うん、今年は邪魔しないでおいてやるって。Y美が」

そう、去年はY美とT崎も一緒だった。

N子「今年は、二人だけで花火見られるね」

いや、果たしてそうかな?K本がどのくらい本気で言ってたのかが気になる。

まあ不安材料はひとまずおいて、花火までの時間潰しに屋台やイベント会場を
うろつくことに。
たい焼きやかき氷を食べながらカラオケ大会を眺めていると、「いたぞ!」と
聞き覚えのある声がする。K本だ。Y田もいる。まさか本当に俺たちを探してたのか?

俺「ヤバい、行こう!」

咄嗟にそう言ってN子の手をとり、早足でその場から逃げ出す。N子は浴衣
だから走れない。普通に考えればすぐ追い付かれるだろうけど、ここは俺の
地元だ。裏道は熟知している。
路地に入り、幾つかの角を曲がって、公民館前の小さな広場に辿り着く。
どうやらK本達は付いてきていないようだ。

N子「急にどうしたの?さっきの人たちは何?」

・・・考えてみりゃ俺、なんで逃げてんだ?wwwwでもここは雰囲気を出して、

俺「あいつらはな・・・敵だ」
N子「へ?」

思いっきり怪訝そうな顔。俺は思わず吹き出してしまい、ごめん、と一言謝って
から事情を説明した。
N子はK本達と会ったことはないけど、俺が時々話はしていたので、ああ、あの人が
そうなんだ、と納得したようだった。

40: 2014/07/25(金)22:36:32 ID:dFImTkAmH
K本「ああ、いたいた。なにも本気で逃げなくてもいいだろ」

そう言いながらK本とY田がやって来た。相当あちこち走り回ったようだ。
Y田は肩で息をしている。

俺「悪い悪い。N子、こっちがK本でこっちがY田」
N子「●●(名字)です。1くんがいつもお世話になってます」
K本「いやいやこっちこそ。話はいつも1から聞いてるよ。よろしく」

K本の隣ではY田がボーッと突っ立っている。K本にお前もなんか喋れよ、
と言われて、

Y田「あ、あの、俺と付き合ってください!」

なに言ってんだお前はwww

N子「私、彼氏いるんで。ごめんなさい」
Y田「そっかー、やっぱり」

やっぱり、じゃねぇよ俺がその彼氏だよ。てかN子も真面目に答えなくて
いいよwwwww
そのあとしばらく4人で喋っていて、そろそろ花火が始まる時間だからN子と
二人でいい場所取りに行こうかな、なんて考えてると、N子の携帯に着信。
メールを開いて、申し訳なさそうな顔で、

N子「Y美たちが花火一緒に見ようって。どうしよう?」

結局、この4人でY美、T崎と合流してみんなで花火を見た。もう二人っきり
どころじゃない。
ちなみに、Y田はT崎にも「付き合ってください!」と言って、断られてた。
もしかしてそれはY田にとって定番の挨拶なのか?やめといた方がいいと思うぞ。

でも、後で聞くと二人ともY田のことを「面白い人」って言ってた。あの
異常行動ですらキモいとかイタいって言われないところが、イケメンの
強みだな。畜生めwwwwww

41: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)22:40:40 ID:z6CQhusHX
>あいつらはな・・・敵だ



42: 2014/07/25(金)22:44:20 ID:dFImTkAmH
夏休みにはこの後も、この6人で海に行ったりした。

二学期。休み時間にはしょっちゅうY美が俺の席に来て話をしているので、
いつからか「あの二人、付き合ってるんじゃないか」って噂が流れ出した。


その数日後、隣のクラスでちょっとイカツイ外見のT井が、俺に詰め寄ってくる。

T井「お前、■■(Y美の名字)さんと付き合ってるのに、他校に女つくって
二股かけてるって噂、あれ本当か?」

なんだそりゃ。どこからそんな話に発展したんだ?

俺「違うよ。その他校の女ってのが俺の彼女で、Y美は彼女の友達で、ついでに
家が近所ってだけだ」
T井「そうなのか?・・・そうか、誤解してて悪かった。じゃあお前、■■さんの
こと詳しいんだろ、ちょっと聞いていいか?」

そこから、Y美に彼氏がいるのか、好きな人がいそうか、どんな男が好みか、
趣味は何か、いろいろ聞かれた。俺もさすがに事情を理解して、分かる限りの
ことは答えてやった。
そしてそのまた翌日。

Y美「1、ちょっと来て」

また呼び出されたwww今度は叩かれなかったけど。

Y美「あのね、あんまり面倒臭いのけしかけて来ないでよ」

どうやら、昨日あのあとT井から告白されたらしい。なんだよT井、俺に聞いたとか
言ってんじゃねーよ。

Y美「これから誰かにあたしのこと聞かれたら、好きな人いるって言っといて」
俺「え、好きな人いるのか?誰?」
Y美「ニブイなぁ、そういうことにしとけって言ってんの」

そこからなぜか俺の察しの悪さについて説教が始まり、俺はただただ謝るだけ
だった。おのれT井めwwwwww

43: 2014/07/25(金)22:46:42 ID:dFImTkAmH
そう言えば今まで、Y美に彼氏がいるところを見たことがない。N子に聞いても、
誰かと付き合ってる様子はないと言う。

顔はもう、文句なく超がつく美人だ。スタイルもいい。性格も悪くない。友達
思いの世話好きだ。ただちょっと気が強すぎるのと、何より口が悪いwww
基本的に男口調で、自分の事を「オレ」って言ってた時期すらある。そんなん
だから彼氏ができないんじゃないのか?

そう考えて、思いきって言ってみた。

俺「Y美ってさ、見た目すっげーキレイなんだから、もっと女の子っぽくしたらいいんじゃない?」

言った直後、後悔した。これは頭を叩かれるか尻を蹴られるか、とにかく無事
では済むまいwwwww
だけど、Y美の反応は予想外のものだった。

Y美「・・・キレイ?私?・・・ホントに?」

いつもとは違う声音。伏し目がちで、視線を泳がせて、恥ずかしそうに。一人称も、
あたしではなく私。俺、ちょっとドキドキしながら、

俺「ああ、Y美は本当にキレイだと思うよ、昔っから」

Y美にこんな事を言うのはN子に悪いような気がしたけど、他意はない、単に事実を
述べているだけだ。そう自分に言い聞かせる。Y美は俯いたまま、一歩俺に近付き、

Y美「ありがとう。そんなふうに思ってくれてたなんて・・・とっても、うれしいよ」

そう言ってこちらを見上げ、じっと俺を見詰める。何だか瞳まで潤ませて、

Y美「いちくん・・・私、ずっといちくんのこと・・・」

ヤバイ。あまりにも想像を越えた展開で、頭が働かない。俺は、「いちくん」って
呼ばれた瞬間から、喉元のあたりをキューっと締め付けられたような感じがして、
N子のことが頭一杯に浮かんで、消えて、今度は小学校の頃のY美の姿が・・ ・

Y美「・・・っぷふっっ、あははははっ」

突然 、いつもの調子に戻って笑い出すY美。

Y美「どうだった?ドキドキした?このくらい、あたしにだってできるよー。しようと
思う相手がいないだけでさ」
俺「あ、うん、びっくりした。・・・なんか凄かった」
Y美「凄かったってなによ。可愛いかったって言えよ」

結局叩かれた。何ださっきの演技力は。女子こえぇーwwwwww

44: 2014/07/25(金)22:49:32 ID:dFImTkAmH
高1のバレンタイン。去年は高校受験ってこともあって、既製品のチョコを
貰ったけど、今年は手作りに挑戦するよとN子が張り切っていた。

で、当日貰ったのは、ホールケーキでも入ってんじゃないの?ってくらい
大きな包み。でも中味はチョコだから、重量感がスゴい。
手作りチョコなんて貰うのは生まれて初めてのことだったから嬉しくて、
何度も礼を言って、N子はちゃんと食べられればいいけど、って恐縮してた。

家に帰って、わくわくしながら包みを開けると、現れたのはやはり巨大な
ハート型のチョコレートで、きれいにデコレーションしてある。ただし、予想
よりも遥かに厚みがあった。5cmくらいあったと思う。・・・これ、どうやって
食べればいいんだろう?
とりあえずそのまま齧ってみるが、全然歯がたたない。むしろ歯の方が折れ
そうだwwwww包丁を使っても、ちょっと表面が削れるだけだった。

散々悩んだ挙げ句、金槌で割ることに決めた。チョコを袋に入れ、N子ゴメン、
と心のなかで謝りながら金槌を降り下ろす。躊躇したせいか、一度ではびくとも
しない。今度は思いっきり叩く。チョコを叩いているとは思えない手応えと
音がして、ハートは幾つかのパーツに別れた。それでも一つ一つの破片はまだ
十分すぎる大きさがある。
その後も何度か叩いてなんとか食べられそうな大きさにしたあと、箱に戻して
少しづつ食べた。全部食べ終わったのは、4月中頃のことだったwwwwww


ところで俺は小さい頃、よく姉に手伝わされていて菓子作りにはちょっと自信が
あったので、ホワイトデーには手作りの一口タルトをお返しした。カスタードの
上にドライフルーツやシロップ漬けを乗せて。
N子は喜んでくれて、でもちょっと拗ねて「来年からはバレンタインに材料だけ
プレゼントするから自分でつくって」って言われたwww

2、3日後、Y美が「マンゴーのやつ、美味しかったよ。また作ってよ」って言ってきた。
いや、お前にはあげてないし。てか義理チョコも貰ってないぞwwwwww

45: 2014/07/25(金)22:51:41 ID:dFImTkAmH
高2になって、俺はようやくN子の身長を追い越した。当時、確か170cmちょっと
くらいだったと思う。
俺よりもN子の方が余程嬉しそうで、「これでちょっと踵のある靴も履けるね」
って喜んでた。それまで自分の方が背が高いのをとても気にしていて、いつも
ぺったんこの靴しか履いてなかったから。俺は、「おう、ハイヒールでも何でも履け」
って答えてやった。たぶん身長差は数ミリ程度しかなかったと思うけどwww

46: 2014/07/25(金)22:53:26 ID:dFImTkAmH
6月末頃、例の6人で蛍を見に行くことになった。というのも、K本の家が有名な
蛍狩りスポットの近所で、K本の兄が車で迎えに来てくれる事になったからだ。
夕方の6時半くらいに俺を含めた5人が集まり、K本兄の車に乗って現地に着いた
のは7時過ぎくらい。ちょうどこれから薄暗くなってくる時間帯だ。K本とK本妹が
既に自転車で来ていた。

蛍狩りの場所は遊歩道の整備された川原で、駐車場からは10分ほど歩いてそこに
向かう。道中、街灯の類いにはすべて赤い袋が被せられていて、これは光で求愛
行動をする蛍の繁殖を邪魔しないようにするためだとK本が説明してくれた。

ま、説明してる相手は俺じゃなくてT崎なんだけどねwww

ちなみにY田だが、K本妹には求愛行動をしなかった。成長したなY田。

47: 2014/07/25(金)22:55:42 ID:dFImTkAmH
正直言うと、俺は蛍にはあんまり興味がなかった。そんなもん、家の近くの川でも
見られたから。ちょっと光るだけで、ただの昆虫じゃん。そう思ってた。でも結果は、
俺が間違ってた。

赤い光が遊歩道をほんのりと照らしている川原の、細い水の流れの向こう岸に、
無数の光が舞っていた。こちら側の岸の丈高い草の上にも。近所の川の蛍なんて、
もう比較にもならない。
光の正体が昆虫だと分かっていてもなお、それはとても幻想的で、俺はもうただ
呆然と周囲を漂う光を眺めてた。N子と繋いでいた手に思わず力が入って、N子も
強く握り返してきた。

N子「きれいだね」
俺「うん、凄いキレイだ」
N子「また二人だけで来たいね」
俺「ん、そうだな。また来よう」

この会話の周囲では、K本とY田が蛍を捕まえようとしてY美とK本妹に怒られている。
お前ら静かにしろよ、他にも大勢人がいるんだからwww

あとで知ったんだが、実はこの後、K本とT崎が付き合い始めたそうだ。やっぱり
無口なイケメンよりも話の面白いやつの方がモテるらしい。

48: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)22:55:59 ID:z6CQhusHX
ちょこそんなに硬いのかよw

49: 2014/07/25(金)22:59:17 ID:dFImTkAmH
>>48
そりゃもう、全力で叩いてようやく砕けた感じでしたwww


高2の夏休み。この夏にも6人で祭の花火や海に行ったりBBQをしたりしたんだけど、
そんなもんよりもっと重大なイベントが起きた。N子の家に誘われたんだ。

N子「明日か明後日、うちに来ない?」

二人で遊びに出掛けた帰り際。突然のことで、それはもうびっくりした。呆けた顔で
N子を見て、「え?」とか言っちゃった。これってそーゆーフラグだよね?
N子は、自分の提案が俺に与えた影響に気づいたようで、焦って顔を赤くして、

N子「えと、そうじゃなくて、私いま練習してる料理があって、それで家でお昼ご飯
味見してくれたら嬉しいかなって、それに平日は夕方までお母さん仕事でいないs」

そこまで言って、しまった、というふうに俯いて、さらに顔を赤くして、黙って
しまった。これって絶対そーゆーフラグだよね?www

俺は、可能な限り平静を装って、じゃあ明日の昼前に行くよ、N子の料理楽しみだな、
という意味合いの奇妙な呪文をゴニョゴニョと唱え、バス停でN子を見送ると、速攻
自転車でドラッグストアに向かった。言うまでもなく、当然ながら、ゴム購入のためだwwwwww
人生初のゴム購入には、入店から精算まで約2時間を要したwww

家に帰ると、これまた当然ながら、装着の練習。一発で決まった。もちろんそのまま抜いたwww

50: 2014/07/25(金)23:00:55 ID:dFImTkAmH
翌日、事前の打ち合わせ通り、いつもの公園に自転車を停め、N子に連絡してから
歩いて家まで向かうと、半開きの玄関からN子が辺りの様子を窺っていた。いやN子、
それは怪しすぎるぞ。
俺に気付いたN子が手招き。ダッシュで玄関に滑り込む俺。俺の行動も十分に怪しいwwwwww

N子「あー。ドキドキしたぁ」
俺「俺も。近所の人とか、大丈夫だったかな?」
N子「昼間はだいたい皆出掛けてるし、大丈夫じゃないかな」

リビングに案内され、料理の仕上げをするから待っててとN子はキッチンへ。
しばらく待ってN子が運んできた料理は、鶏肉のクリームシチューと魚のフライ、
それにサラダとご飯というメニューだった。
シチューは市販のルーを使わずに作ってあるそうで、これが「いま練習してる料理」
だったらしい。お世辞抜きで旨かった。食べ終わって、

俺「ごちそうさま。全部美味しかったよ。お店で食べる料理みたいだった」
N子「本当に?ありがとう。お粗末さまでした」

片付けを手伝おうとしたが拒否され、ソファーに座ってテレビを見させられていると、
15分ほどでN子が戻ってきた。

N子「片付け終わったけど、これから何しようか?」

何しようかって・・・そりゃもうあなた、えっちなことでしょwww
そうは思っても口には出せず、いろいろ考えて、

俺「んー。N子の部屋が見てみたいかな」
N子「えー、散らかってるからやだなぁ」

そう言いながらも案内してくれた2階の部屋は、俺基準で言えば完璧に片付いていて、
N子と同じいい匂いがしていた。

51: 2014/07/25(金)23:02:26 ID:dFImTkAmH
部屋にあるのは、ベッドと勉強机、それに小さなローテーブルとクッション。
N子が「適当に座って」と言うので、思いきってベッドに腰掛けた。N子は、
何も言わずに俺の隣にすとん、と座って、密着。顔が赤い。

肩に腕を回してキスをする。舌を絡ませながら、空いている方の手をN子の胸に。
抵抗はない。そのままゆっくりベッドに横たわらせ、キスは続けながら、服の
上から胸を触る。柔らかい。最高。
ここまできてまだ拒否されてない、これはいけると確信した俺は、ポケットの中の
ゴムを確認し、今度は直接N子のおっぱいを触るべく、服の裾から手を差し入れた。
すべすべのお腹を通ってブラの上へ移動し、何回か失敗したあと、ついにブラの
中に手を滑り込ませる。暖かくて、しっとりしてて、柔らかい。他に例えようのない
感触。おっぱいを手で包み込むようにすると、指に少し違う感触が当たる。

その瞬間、N子は体を強張らせて、服の上から俺の手を押さえ、

N子「ごめん、いちくん。やっぱり私まだ怖いよ」

いまにも泣き出しそうな顔のN子。それまでの緊張と興奮が一気に解け、がっかりと
ホッとした気持ちが半分づつくらいの不思議な心境でN子を見つめ、

俺「怖がらせてごめん。N子の準備ができるまで待つよ」

そして、できるだけ優しく抱き締めた。

52: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)23:03:42 ID:z6CQhusHX
見てるの俺だけか?ww
俺は最後までみるからよろしくww

54: 2014/07/25(金)23:06:42 ID:dFImTkAmH
>>52
ありがとう。頑張ります。


その後、もう当分こんなチャンスはないだろうと思っていたけど、数日後に
N子から、「練習したい」という提案があった。
要はいきなり最後までだと怖いから、少しづつ進めて慣れていきたいって事
らしいけど、俺、そこまで我慢できるだろうか?wwwwww

N子のお母さんは、平日と時々土曜日は仕事で、帰りは夕方6時か7時くらい。
俺の両親は一緒に店を経営しているので、火曜日以外は基本的に夜まで家にいない。
共に兄や姉はいるが、やや年が離れているのでもう独立してる。

つまり俺たちは、いつでもどちらかの家で二人っきりになれるってわけだ。

そこで、週に1、2回どちらかの家に行って「練習」することになった。
最初は、服を着たまま添い寝するだけ。次は下着姿で。それで少し慣れてきたら
お互いにあちこち触りあったり。初めてN子が俺の臨戦態勢のちん●んを触った
時には、「え?こんなに大きいの?」ってまた少し泣きそうになってた。
なんかちょっとだけ嬉しかった。ごく普通のサイズなんだけど。

そして最後は裸で。下着で抱き合ってるときも気持ちよかったけど、全裸同士は
ヤバかった。練習前には予め2回ほど抜いておく必要があったwww

53: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)23:04:50 ID:j0SeXU3I8
終了
以下好きな丼メニューについて語るスレ

55: 2014/07/25(金)23:09:00 ID:dFImTkAmH
>>53
天丼でお願いします


で、ついに童貞とさよならしたのは11月頃のこと。3ヶ月くらいかかった。
その間、練習は20回ほど続いた。

N子「もう大丈夫だから、いいよ。今まで我慢してくれて、ありがとう」

その言葉で俺のなけなしの理性は吹っ飛び、N子に襲いかかったwww

ことが済んだあと、「痛かった?」って聞いたら、「今もまだ痛いよ」って
言われて思わず謝って、

N子「いちくんは?どうだった?」
俺「・・・気持ちよかった」
N子「ズルい」

分かってて聞いてるだろwwwでもまた謝ったwwwwww

それからはもう、ほぼ毎週してた。覚えたてだからね、仕方ないねwww


翌日、月曜日の朝。学校に行って教室に入ろうとすると、廊下でY美に出会った。
普通に挨拶しようとすると、俺に気付いたY美は急に頬を赤らめ、そっぽを向いて
早足で歩き去ってしまった。

あー、あの反応は絶対に何があったか知ってるなwwwまた筒抜けかwwwwww

56: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)23:09:13 ID:7ZNBXsNSa
俺もいるぞ~

57: 2014/07/25(金)23:11:43 ID:dFImTkAmH
>>56
ありがとうー


ところでこの年の12月、クリスマスを待たずしてK本とT崎が別れた。何があった
のか詳しくは知らないが、大喧嘩してK本がフラれた形だったようだ。N子情報に
よれば、「思ってたのと違った」ってことらしい。

Y美は、俺とN子がケンカしたときみたいに仲裁に入らなかったんだろうか?
ちょっと疑問に思って直接聞いてみたら、

Y美「へ?なんであたしがそんな事に首突っ込まなきゃいけないのよ」

・・・え?俺とN子の事には首突っ込みまくってるのに?

ともあれ、このことでK本とT崎の関係が気まずくなってしまったので、これ以降、
6人で集まってどこかへ行くという事はなくなった。

58: 2014/07/25(金)23:13:14 ID:dFImTkAmH
翌年、高2のバレンタイン。今回はN子から手作りのトリュフチョコを貰った。
普通の大きさで、すごく美味しかった。いや、去年のも味は良かったんだけどwww
さらに今回はなんと、Y美からも手作りチョコを貰った。全く同じトリュフだった。
おそらく一緒に作ったんだろう。いや、下手をすると全部N子が・・・

何にせよ目的は明らかだと思ったので、ホワイトデーには去年と同じタルトを
二人に送った。Y美にはマンゴー増量でwww

59: 2014/07/25(金)23:14:16 ID:dFImTkAmH
高3になり、高校卒業後の進路について考える時期が来た。俺とY田は大学への
進学を希望、K本は初級地方公務員を目指すらしい。N子とT崎は、そもそも今の
学科が5年制だから今年は受験はない。
Y美は、「短大くらいには行っとこうかなー」と、至って気楽なもんだったwww

N子との会話でも、当然その話題は出てくる。

N子「大学って、どこに行くの?」
俺「まだそこまで具体的には考えてないけど、◯◯大あたりに入れたらいいな」
N子「◯◯大かぁ。遠くなっちゃうね」
俺「まだ、どうなるか分からないけどな」

そうは言うものの田舎なので、実家から通える距離には4年制大学なんて一つもない。
最短でも電車で2時間はかかる距離だ。進学するとなれば、遠距離になるのは避けられない。

俺「大丈夫、そんな遠くの大学には行かないよ。その気になれば週末には会いに帰って来れるだろ」
N子「うん・・・ありがと」

それでも不安そうな声。俺は何とかしてN子を元気付けようとしたが、巧くはいかなかった。

60: 2014/07/25(金)23:16:49 ID:dFImTkAmH
それからのN子は、遠距離になると辛いとか、寂しいとか、会えないのは嫌だとか、
そんなことをよく口にするようになって、俺も宥めきれずケンカに発展することが増えた。
お互いに意地を張ってしまって仲直りできないときには、Y美に諭されて謝り、例の
公園で会って話す。そんなことが月に2、3回はあった。

N子が遠距離恋愛に不安を抱いているのはよく分かってるし、俺だってできれば
N子の近くにいたい。
K本のように地元で就職することも考えてはみたが、N子とのことを含めて将来を
考えると、仕事のためにも大卒の肩書きはやはり必要だと思う。それに、両親も
俺の進学を期待してくれている。

そう考えて、改めて進路を大学への進学に決め、それでもN子との関係のことも
考慮に入れて、志望校は県内と隣県に絞ることにした。
これなら、実家までの距離は最長でも3時間以内だ。N子も賛成してくれるだろう。

俺「県内か、隣県の大学を目指すことに決めた。会いたくなったらすぐ帰って来れるから、大丈夫だよ」
N子「うん。・・・でもやっぱり、遠いよ。寂しいよ」

またか。ちょっとくらい我慢して、俺の受験を応援してくれよ。俺は、良かれと思って
した決断にケチをつけられた気がして、ちょっと不機嫌になる。

俺「仕方ないだろ。これでもN子のために一番近いところを選んだんだから、もう
ちょっと喜んでくれてもいいじゃん」
N子「・・・・・・ごめん」

また気まずくなった。

61: 2014/07/25(金)23:19:34 ID:dFImTkAmH
その日の夜、N子から電話がかかってきた。暗い声で「もしもし」と言ったあと、
無言。痺れを切らした俺は「どうした?何か用?」と尋ねる。

N子「用がないと、電話しちゃダメなの?」
俺「そんなこと言ってないよ」

双方、不機嫌な声。またケンカに発展しそうな感じ。N子は大きく息を吐いて、

N子「もう・・・別れよう」

聞いたとたん、血の気が引いていく感じがした。これまで何度もケンカはして
きたけど、どちらからもこの一言が出たことはなかった。「なんで」と聞くが、
声も掠れてまともに出ない。

N子「最近、ケンカばっかりしてるし、いちくんは遠くに行っちゃうし、気持ちは
分からないし、このままじゃ、嫌いになっちゃいそうだから」

嫌いになりそう、ってことはまだ嫌いじゃないんだろ?なのに、なんで別れなきゃ
いけないんだ?

62: 2014/07/25(金)23:20:52 ID:dFImTkAmH
俺「俺はN子のこと大好きだよ。別れるなんて言うなよ」
N子「私も、いちくんが大好きだよ。だから、嫌いになって別れたくないの。
でもこのままじゃ、いつかそうなっちゃうから」

この辺はもう涙声だったが、言ってることがよく分からない。お互いに好きなら、
別れる必要なんてないじゃん。

俺「待ってくれよ、俺はN子と別れたくないよ。嫌だよ、何でだよ」

でも俺が何を言ってもN子の決意を変えることはできず、

N子「ごめんね、いちくん、・・・じゃあね。受験頑張って」

そう告げて通話が切れた。
しばらく呆然としてた俺だが、我に帰って電話をかけ直す。しかし、出てくれない。
その後、何度やっても電話が繋がることはなかった。泣いた。

63: 2014/07/25(金)23:22:20 ID:dFImTkAmH
翌日、学校でY美に捕まった。当然筒抜けだよなwww

Y美「なにやってんだよ1。このまま本当に別れちゃうつもりか?」
俺「そんなこと言ったって、N子の方がそういうつもりなんだからしょうがないだろ」

Y美は溜め息をついて、

Y美「そうじゃなくて!1はどう思ってるんだって話だよ」
俺「どう思うって・・・そりゃ別れたくなんかないよ」
Y美「N子に1の気持ちは伝えたのか?」
俺「好きだから別れたくない、とは言った。でも・・・」

ここでY美はちょっと笑って、「ニブイなぁ」と言って、

Y美「N子は、1が大学に行って遠距離になるのが嫌なんだよ?寂しいんだよ。
1の側にいたいんだよ。お前はどうなんだ?」
俺「そりゃ俺だって嫌だよ。N子の近くにいたいよ。だけど」
Y美「それをN子に伝えたのか、って言ってんの!」

Y美曰く、N子は、遠距離になることについて度々自分の気持ちを伝えてきたのに、
俺の方は寂しいとも何とも言わなかったので、会えなくて辛いと思ってるのは自分
だけなんじゃないか?ひょっとしたら、自分が相手(俺)のことを一方的に好きな
だけなんじゃないのか、と思い詰めてしまったらしい。

Y美「N子はね、今みたいに毎日会えなくなることについて、1にも自分と同じ
ように寂しいって言って欲しかったんだよ」
俺「俺も、寂しいとは思ってるよ」
Y美「思ってるだけじゃ、ダメなの。ちゃんと、言葉で言わなきゃ伝わらないの。分かる?」
俺「・・・分かった。俺が悪かったよ」
Y美「だからあたしに謝ったって意味ないし。今日は駅じゃ会わない方がいいよ。
今晩、例の公園ででもゆっくり話しなよ。あたしからも連絡しといたげるから」
俺「うん・・・いっつも悪いな」
Y美「気にすんな。別にあんたの為にしてるんじゃないからw」

はい。N子の為ですよね。分かりますwww

64: 2014/07/25(金)23:23:21 ID:dFImTkAmH
その夜、N子は例の公園に来てくれて、俺は言われた通り自分の気持ちをちゃんと伝えて、
謝って、N子も泣いて謝って、そして俺たちは無事仲直りした。

N子「大学、行っちゃっても時々は会える?」
俺「連休には絶対帰ってくる。週末も。3時間待ってくれたら、この公園にだっていつでも来るよ」
N子「うん、ありがとう。私、ちょっとくらい会えなくても我慢する。がんばるよ」
俺「俺もだ。一緒に頑張ろう」

まぁ、大学に行ってからの心配の前に、まずは大学に行けるかどうかの心配をしなきゃ
いけないんだけどねwwwwww

65: 2014/07/25(金)23:25:33 ID:dFImTkAmH
途中はすっ飛ばして、受験の結果。結局第一志望には不合格、第二志望の隣県の
大学に何とか引っ掛かり、ここへ進学することに決めた。
実家から大学までは、JRと私鉄を乗り継いで約2時間半。合格の報告をすると、
N子は素直におめでとう、と言って喜んでくれた。

ちなみにY美は県内の女子短大へ。しかし一人暮らしは反対されて、電車で1時間
かけて通学することになったらしい。「これじゃあ進学した意味がない」って
言ってた。なんのために進学したんだよ?www

66: 2014/07/25(金)23:34:23 ID:dFImTkAmH
大学に入ってからのN子との関係は、心配してたより順調だった。特にトラブルも
なく、連休には俺が実家に帰って二人で会う。そんな生活が続いて、大学2年の
3月、N子は無事国家試験に合格し、4月から就職。Y美も地元の企業に就職した。

大学3年の春。俺だけ気楽な学生のままで、何か申し訳ない気分だった。それと
同時に、N子に置いて行かれてしまう不安とか、焦りみたいなものも感じていた。


さらに年が変わり、そろそろ就職を考え始める時期になる。

それまでは、ただ漠然と大企業に就職したいと思っていた。でも、全国規模の
大企業なら当然転勤がある。N子との距離がまた遠くなってしまう。
俺は、社会人になったN子が急速に"大人"になってゆくのを感じていて、これ以上
遠くに離れてしまうと、もう今までのようにN子を繋ぎ止めてはいられないんじゃ
ないかと不安だった。そんなのは嫌だ。N子の傍にいたい。

悩んだ末、俺はできるだけ地元の近くに就職先を探すことに決めて、N子にそう伝えた。

N子「こっちに戻ってきてくれるの?よかったぁ。いちくんがまた遠くに行っちゃったら
どうしようかって、心配してたんだ」

嬉しそうだった。でもその理由を聞かれた時、生活のリズムがどうとか地元への
貢献とか、まるでESに書くようなことを答えてしまった。
なんでこういうとき素直に「N子の近くにいたいんだよ」って言えないんだ俺は。

67: 2014/07/25(金)23:35:25 ID:dFImTkAmH
4年になって本格的な就活が始まり、地元の企業を中心に当たっていった。
希望職種で限定すると、会社の数は決して多くない。
でも幸い、人気のある大企業とは違って履歴書だけで落とされるようなことは
なかったので、5月頃は面接のために何度も何度も実家に帰っていた。

6月、第一希望の会社から内定を貰い、ここに決める。実家からは車で1時間
ほどの距離。それほど近くはないけど、近ければどこでもいいってわけにも
行かないので仕方ない。
N子に報告すると、内定のお祝い、と言ってネクタイをくれた。さあ、あとは
卒業するだけだ。

68: 2014/07/25(金)23:37:04 ID:dFImTkAmH
そして9月中頃のこと。N子からの電話で、Y美の入院を知った。一ヶ月後に手術の
予定。病名は、胃ガンだった。


その週末に実家へ帰り、昼過ぎ頃に入院先の病院へ見舞いに行く。Y美は少し痩せた
ようだったが、その他は何も変わりないように見えた。
病室にはN子と、Y美の親父さんがいた。挨拶すると、

Y父「ああ1くん、久し振りだな。学校忙しいんじゃないの?わざわざ来てもらって悪いね」
Y美「あたしの見舞いじゃなくて、N子に会いに来たんだよ。彼氏だもんね」
N子「ちょっ、Y美!」
Y父「へぇ、N子ちゃんの。そうかぁ、みんな大人になったもんだなぁ、ウチの子以外は」
Y美「うるさいなぁw」

それからY美の父親は、ウチには母親がいないから、男親の自分には頼みにくい事も
あるだろうし、N子に来てもらってとても助かっている、だけど彼氏もいるのに、毎日
遅くまで居てもらって申し訳ない。というようなことを話して、Y美にウザがられて、
何か用事を片付けるために部屋を出ていった。

俺「なんか、思ってたよりずっと元気そうで、安心したよ」
Y美「来月の手術で、胃はほとんど取っちゃわなきゃいけないみたいだけどね。まぁ、しょうがないね」

そのあと3人でしばらく喋って、手術当日には必ず来るよと約束して、病室をあとにした。
N子はもうしばらく残ると言って、また二人で何やら話しはじめていた。
ガンだなんて聞いたから、どんな酷いことになっているかと心配したけれど、とりあえず
元気そうだったし、手術で治るような口ぶりだったので安心して、俺は次の日もN子と
一緒にY美を見舞ってから家に帰った。

69: 2014/07/25(金)23:38:27 ID:dFImTkAmH
10月中旬、手術当日。昼前から始まる予定の手術に合わせ、Y美の病室には続々と
人が訪れてくる。ピーク時には15人くらい居たかもしれない。俺もその中の一人だ。
時間が近付き、看護師がY美を車椅子で手術室へ連れていく。「行ってくるよ」
Y美は強張った笑顔で小さく手を振り、俺たちもたぶん同じような表情で見送った。

手術の予定時間は、早くて3時間、長引く場合はどれだけかかるか分からないらしい。
Y父は、手術が終わったら連絡するから一旦帰るようにとN子に言ったが断り、俺と
このまま病室で連絡を待つことにした。

途中で一度飲み物を買いにいったきり、俺たちは他に誰もいない二人部屋の病室で、
ただ待ち続けた。
会話がなかったわけじゃないけど、時間は途方もなく長く感じられた。

最短の予定時間である3時間を少し過ぎ、ここにいて本当に誰か連絡してきてくれるのか?
と不安になりだした頃、看護師が来て、手術の終了を伝えてくれた。
胃の摘出は無事完了、Y美はICUに移され、目が覚めるのは翌朝、いまご家族が医師から
説明を受けているので、詳しいことはそちらから聞いてください。そんな内容だった。

70: 2014/07/25(金)23:39:59 ID:dFImTkAmH
それからさらに1時間ほど経って、Y美の父親が病室に帰ってきた。
疲れきった様子だった。

Y父「ああ、やっぱりまだ居てくれてたんだ。待たせてすまなかったね」

Y父の話。
大元の病巣である胃の摘出は問題なく終わったが、事前の検査にかからなかった
転移があちこちに発見された。
それら全てを切除していくことは物理的にも、Y美の体力的にも不可能で、手付
かずのまま縫合。今後は体力の回復を待って、抗がん剤での治療を行うことになった。

俺は目の前が急に暗くなったような感覚に襲われ、パイプ椅子にへたりこんだ。
N子は、固い表情で、でもしっかりY父の顔を見て、Y美の病状についていくつか
質問をしていた。馴染みのない言葉が多かったし、うまく頭が働いてなかったので、
内容は覚えていない。

俺は、翌日Y美と顔をあわせたとき何を言えばいいか分からなくて、てか正直
Y美と会うのが怖くて、その日のうちに自分の家へ逃げ帰った。


翌週、「Y美のお見舞いに来てあげて」とN子から電話。

俺「行きたいけど・・・何話していいのか・・・」
N子「大丈夫。最初はだいぶショック受けてたけど、今はもう落ち着いてきてるから。
Y美もいちくんに会いたがってるし。ね?」
俺「うん・・・わかった、週末にそっちに帰るよ」

俺はまったく、なんてヘタレだ。

71: 2014/07/25(金)23:41:09 ID:dFImTkAmH
10月の下旬、10日ぶりに見るY美は、また少し痩せているように思えた。

Y美「体力戻さなきゃいけないんだけどさ。ご飯食べるとすぐお腹痛くなるんで、
あんまり食べられなくて」

点滴を指差し、今はこれが主食、とか言って笑ってた。


12月に入って、Y美が退院したとN子から連絡があった。抗がん剤での治療も
始まったらしい。正月には帰るから、その時会えるな。

12月末、帰郷してすぐ、N子を誘ってY美の家へ行った。
事前に電話して、遅くなったけど退院祝いに何か欲しいものがあるかと聞くと、
「肉。肉たべたい」と言うので、ちょっと奮発して黒毛和牛のステーキ肉を2枚
買って行った。ホントに食えるのか?

俺「久しぶり。ほら、リクエストの品、買ってきたよ」
Y美「ホントに買ってきてくれたの?悪いね。では遠慮なくwww」
俺「でも、こんな脂っこいの食べて大丈夫?」
Y美「量を食べられないから、逆に高カロリーの方がいいんだってさ」

煮物みたいな体に優しそうな料理がいいのかと思ってたけど、そう言うもんなのか。


正月には、N子、Y美、T崎と俺とで初詣に行った。Y美の体調を考えて、一番近くの
小さな神社に。N子とY美は貸し切り状態の拝殿の前で、とても長い願い事をしていた。

72: 2014/07/25(金)23:42:33 ID:dFImTkAmH
1月下旬、Y美が自宅で腹痛を訴えて病院へ運ばれ、緊急手術を受けたとN子から電話。
すでに事後だ。その週末に見舞いに行くと、

Y美「せっかく少しは食べられるようになってきたのに、またここからやり直しだよ」

また点滴を指差しながら、そう言って笑ってた。


3月中旬。大学の卒業式に出席し、入社手続きに必要な書類を揃えてから、引っ越し。
実家までの距離は、半分以下に縮まった。

N子はほとんど毎日、仕事帰りにY美の病室へ通っているらしい。そこで面会時間ギリギリ
の7時半まで過ごす。
俺も週末には必ずY美の見舞いに行くことにした。

Y美は会うたび痩せていっているように思えたが、病状や入院生活を苦にしてふさぎ
こんだりする様子はなく、それが俺にとってはせめてもの救いだった。そうでなければ、
見舞いに行くのが憂鬱になっていたに違いないから。

4月。俺の仕事が始まる。引っ越したばかりで慣れない土地での生活と研修でそれなりに
忙しかったが、やはり週末には必ず面会に訪れた。
また、そこに行かなければN子にも会えない、という事情もあった。この半年ほど、Y美の
病室以外では、片手で数えられる程度の回数しかN子に会ってない。


ちなみに、社会人になってすぐ車を購入した。中古の軽だけど。家から病院までの往復は、
これで断然楽になった。

73: 2014/07/25(金)23:45:02 ID:dFImTkAmH
そして5月、GWが終わってすぐ、N子からの電話。「もしもし、いちくん・・・」
最初から涙声。嫌な予感。

俺「どうした?大丈夫?」
N子「うん、ゴメン。私は大丈夫。・・・あのね、Y美、病棟を移ることになったよ。
緩和ケア。・・・もってあと3ヶ月だって」

ポツリポツリと、感情を圧し殺すようにそう言った。あと3ヶ月、何が?と一瞬思って、
そのまた一瞬後に、意味を理解した。
そんな馬鹿な。つい数日前にも見舞いに行った。元気そう、とは言わないまでも、
Y美の様子はそんなに酷いものじゃなかった。N子にそう告げると、

N子「Y美ね、いちくんが来る週末にはいつも、強い痛み止めを貰ってたの。でも、
普段はそうじゃなくて・・・」

途切れる声 、そして嗚咽。俺はN子を慰めるどころか、ショックのあまり声もでない。
だが、そんな俺に、N子はさらに追い打ちをかけてくる。

N子「Y美ね、いちくんのこと、好きみたい。私なんかより、ずっとずっと前から、好きだったみたい」

・・・え?

74: 2014/07/25(金)23:47:50 ID:dFImTkAmH
N子「私、Y美の好きなひとを横取りしてた。いちくんとのこと、いっぱい話して、
自慢して、きっとY美にすごく辛い思いをさせてた」

ちょっと待って。そんな超展開、頭がついて行けない

N子「Y美に酷いことしちゃったよぉ。いちくん、私、どうしたらいい?」

N子は、まるで子供のように泣き始めた。俺は混乱しながらも、必死で何か慰めの
言葉をかけ続けた。
しばらく泣いて、ようやく少し落ち着いたところで、もう一撃

N子「もう、しばらく会うのやめよう?」
俺「え?なんで・・・」
N子「だって私、Y美にもいちくんにも申し訳なくて。私さえいなかったら、Y美は
いちくんと一緒になれたかも知れないのに・・・」

この考え方にはちょっと腹が立った。Y美に悪いから俺とは会わないのか?俺の
気持ちより、Y美との関係の方が優先なのか?
そんな心情だったから、次の言葉にはちょっとトゲがあったかも知れない。

俺「俺がもしY美と付き合ったとしても、どうせすぐ別れてたと思うよ。だから
そんな気にすんなって。N子と俺みたいには続かないよ」
N子「私といちくんだって、Y美がいなかったらとっくに別れてたよ」

確かにそれは事実だ。俺にも分かってる。俺たちにとって、Y美がどれほど重要な
存在だったのかも分かってる。
それが分かってて、反論できなくなって、悔し紛れに出た台詞は、

俺「そんなにY美が大事なのか?俺よりも?もういいよ、勝手にしろよ」

75: 2014/07/25(金)23:49:02 ID:dFImTkAmH
N子「ひどいよ・・・どうしてそんなこと言うの?そんな言い方、ひどいよ・・・」

再び泣きはじめたN子。俺が何も言えずにいると、泣き声が少し遠ざかり、通話が切れた。
その後すぐN子に電話をかけ直すが、出ない。続けて何度もコールしてみるが、やはり
出ない。メールもしてみたが、返信はない。ヤバイ。

N子が泣いている。そう思うと胸が苦しくなって、じっとしていられない。時間は9時前。
今から直接会いに行くか?

俺『会って話がしたい。今から1時間後、▲▲公園で会おう』

そうメールを送って、出発の準備をする。車に乗り込んで、いざ出掛けようとすると
メールの着信音。

N子『ごめんなさい。行けません』

脱力。ちょっと愛車に八つ当たり。
もうこのままN子の家まで行っちまうか、とも一瞬思ったが、それはさすがに迷惑かと
思い直し、もう一度メール。

俺『それじゃあ、週末に●●病院で』

送信してから、しまった、と思う。そこには当然ながらY美もいる。俺、どんな顔して
Y美に会えばいいんだよ。たぶん、まともにY美の顔見れないよ orz

その後はもう、N子からの返信はなかった。

76: 名無しさん@おーぷん 2014/07/25(金)23:56:35 ID:rGibTsAhU
。・゚・(ノд`)・゚・。

77: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:02:32 ID:agSy4vfFJ
つ、続きは…?

78: 2014/07/26(土)00:03:18 ID:ytBtKxVPc
その週末、俺はY美の見舞いに行きそびれて、結局、もう二度と見舞いに行く
ことはできなかった。

5月下旬の平日の夜、N子から電話の着信が来た。慌てて繋ぐ。電話の向こうからは、
今にも泣き出しそうなN子の声で、「Y美が・・・」

前夜、容態が急変したらしい。医師は手を尽くしてくれたが、午前中に帰らぬ人となった。
Y美とY美の父親、双方の意向で延命処置は行われなかった。

それだけ何とか告げて、あとは泣き声が勝って言葉にならない。ただ、何度も
「ごめんね」と言っていることだけは解読できた。
俺はただ呆然とするだけだった。あと3ヶ月と告げられたあの日からまだ、1ヶ月も
経っていないのに。


そしてふと我にかえると、まだN子が泣いていることに気付く。今度こそ何とかしないと。

俺「今から行く。1時間後、▲▲公園。今日は絶対来いよ!それじゃな!」

それだけ言うと、返事を待たず一方的に通話を切り、手近にあった服を着て部屋を飛び出す。
夜の田舎道は空いている。N子には1時間後、と言ったが、40分でいつもの公園に到着。
すると公園の前、道端に、N子の車が停まっていた。

79: 2014/07/26(土)00:10:04 ID:ytBtKxVPc
俺は車を降り、N子の車の助手席に向かう。ドアを開けて「久しぶり」と声を
かけ、乗り込んだ。N子は涙目で前を向いたまま、こくん、とひとつ頷いた。

俺「この前はごめんな。俺・・・」
N子「私の方こそ、ごめん。電話もメールも・・・私、いちくんの気持ち全然
考えてあげられてなくて、甘えちゃって、勝手なこと言って。怒ってるよね?」

俺は、ううん、と大きく首を横に振って、

俺「あのときは確かに、N子の気持ちが分からなくて腹立ててた。でも、今は
少し分かったような気がしてる。だから、もう怒ってない」

俺は、N子にもY美にも会えないでいる間、ずっと後悔してた。N子と口論になった
あの時、「俺の気持ちも知らないで勝手なことを」って思ってたのは事実だ。
でも、知らなくて当然なんだ。だいたい、俺はN子に本当の自分の気持ちを伝えた
事がどれだけあるってんだ?

80: 2014/07/26(土)00:11:49 ID:ytBtKxVPc
俺はN子の話を遮り、一気に気持ちをぶちあけた。

俺「たぶん俺、Y美に嫉妬してたんだ。N子が俺よりもY美を信頼して、大事にしてる
なんて思っちゃって。だけどそれは当たり前だ。俺が素直に自分の気持ちを伝えて
来なかったからだ」

俺「彼女に本音を言うなんて、カッコ悪いことだと思ってた。N子に俺の情けないところを
知られたくなかった。だけど、今更だけど、ちゃんと言わなきゃいけなかったんだ」

今までは、それが必要な時にはY美が伝えてくれてた。思えば8年間も頼りっ放しだったんだ。
Y美の気持ちも知らずに。酷い話だよな。

俺「俺さ、N子のことが大好きだ。ここしばらく、N子と話もできなくて凄く寂しかったし、
もうこのままずっと会えないんじゃないかと思うと不安だったし、N子が俺のいないところで
泣いてると思うと辛くて堪らなかった」

俺「俺はもう二度とN子と離れたくない。こんな寂しくて辛いのはもうイヤだ。N子にずっと
一緒にいて欲しい。どんな時でも一緒にいたいんだ」

ここまで話して、ずっと俯いて黙ったままのN子が気になって、見る。

N子「私だって、いちくんとずっと一緒にいたいよ。だけど、今はまだ・・・その・・・」

困ったような表情。あ、もしかして俺、プロポーズしたみたいに思われちゃってる?

81: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:14:23 ID:a81hufarj
しえん

82: 2014/07/26(土)00:14:28 ID:ytBtKxVPc
俺「あぁいや、違くて、いや違わないんだけどそうじゃなくて」

パニクってしどろもどろになった挙げ句に、開き直って覚悟を決めた。どうせ、
Uターン就職でこっちに戻ってくるって決めたときから、いずれそうするつもり
だったんだ。それが今で何が悪い!

俺「よりによって今日言うべきことじゃないのは分かってる。でも、もうここ
まで言っちゃったんだから、今更誤魔化したってしょうがない。N子、俺と結婚
してほしい。返事は今じゃなくていい。N子がこの事を考えられるようになるまで、
いつまででも待つから」

N子はようやく顔を上げ、俺の方を向いて、ほとんど1ヶ月ぶりの笑顔を見せてくれた。

N子「ホントに私なんかでいいの?」
俺「N子がいい。N子でなきゃダメだ」

そりゃもう即答。N子はまたちょっと涙目になって

N子「ありがとう。嬉しい。でもちょっとだけ待ってて。気持ちが落ち着いたら、ちゃんと返事するから」
俺「うん、待ってるよ」

83: 2014/07/26(土)00:16:10 ID:ytBtKxVPc
運転席から助手席へ。俺の肩にもたれかかってきたN子。肩に腕を回そうとすると、

N子「あ、忘れてた。手紙」

そう言って、鞄から一通の封筒を大事そうに取り出す。プーさんの柄の可愛い封筒だ。

N子「お通夜に行ったとき、Y美のお父さんから預かってたの。Y美から、いちくんへ」

俺に?と言いながら受け取って、開けようとすると、

N子「ここじゃダメ。いちくんへの手紙なんだし、帰ってからいちくんだけで読んであげて。
私にも、私宛の手紙がちゃんとあるから」
俺「そうか、分かった」

もう時間もかなり遅くなってたし、翌日の葬儀の時間と場所とを聞いて、その日は帰る
ことにした。通夜にはまだ間に合ったかも知れないけど、Tシャツにジャージ下という
格好では失礼にも程があるので諦めた。

84: 2014/07/26(土)00:18:37 ID:ytBtKxVPc
家に帰り、礼服を引っ張り出して、シャワーを浴びたあと、Y美からの手紙を開いた。

宛名も何も書かれていない封筒の中に、A4サイズの便箋が5枚。やはりプーさん柄だ。
Y美の書く文字は初めて見るような気がする。意外に、というかY美には似つかわしく
ない気がする、丸っこくて小さくて、可愛い字だった。

「いちくんへ」

それが、手紙の書き出し。不意を突かれたようで、ドキッとした。

「この手紙の中でだけは、1くんのことをいちくんと呼びます。N子には内緒だよ。」

「私はいちくんのことが好きでした。こんなこといきなり言われても困るだろうけど、
本当なんです。」

85: 2014/07/26(土)00:19:28 ID:ytBtKxVPc
以下、要約します


小学校の頃から、1のことが気になっていた。それが恋愛感情だと気がついたのは、
1とN子が付き合いだしてからだった。
N子より早く1に気持ちを伝えなかったことを何度も悔やんだけど、N子は大切な友達だし、
N子と一緒にいるときの1はとても幸せそうだったので、このことは一生秘密にして
おこうと決めた。

ところが、今回の入院で私の気持ちをN子に気付かれてしまったらしく、そのことで
N子と1が気まずくなっているみたいなので、最後のお節介として、この手紙を遺す
ことにした。
私からもN子を説得しておくから、もしもまだケンカしてるなら、絶対に仲直りするように。
前にも言ったと思うけど、気持ちは言葉にしなければ伝わらないので、想いは隠さず
全部N子に話すこと。私はもう、それを手伝ってあげられないんだから。

中学のとき、N子と一緒にイジメっ子と対決して親友になれたこと。高校のとき、1が
キレイだって言ってくれたこと。この二つが、これまでの私の人生での最高の思い出。
1の思い出に残る私が、あの頃の姿でありますように。

これからもいつまでも1たち二人のことを見守って、世話を焼いていたかったけど、
その願いは叶わなくなってしまったようなので、これからは私の分まで1がN子のことを
見守ってあげて。

そしてこの先もしも、N子を悲しませたり、手放したりするようなことがあったら許さない、
二人で幸せになって。そう結ばれていた。

86: 2014/07/26(土)00:21:23 ID:ytBtKxVPc
一枚目の便箋からもう泣いてた。読んでいるつもりでも内容が頭に入ってこず、
何度も何度も同じ部分を読み返したりしていて、全部読み終わったときには
結構な時間が経っていた。
そしてそのとき、本当にY美はいなくなってしまったんだと実感した。Y美の気持
ちを考えると胸が苦しくなって、じっとしていることができなくて、明け方まで
立ったり座ったり部屋を歩き回ったりして過ごした。

空が白み始めた頃にようやく少し寝ることができて、いつもの時間に起きてから
会社に連絡を入れ、ひどい寝不足のまま葬儀会場へ向かった。

受付を済ませ、Y美の父親にぎこちない挨拶をして会場に入ると、T崎、Y田、K本、
その他にも見知った顔が大勢いた。もちろんN子も。

式は粛々と進み、Y美と最後の別れも済ませ、出棺となった。火葬は近親者だけが
参列するものかと思っていたが、Y美の父親がわざわざ来て「もしよければ最後まで
見送ってやって下さい」と誘ってくれたので、俺とN子、T崎、その他数名の友人が
参列することになった。

奥さんと一人娘、二人ともに病気で先立たれてしまったY美の父親だが、ここまで
涙ひとつ見せることなく、俺はこれが本当の大人の男ってものかと感心していた。
だが、Y美を入れた棺が火葬の釜に入って行く際、ついに堪えきれなくなったのか、
会場の隅でひとり涙を拭っていた。それを見て俺も泣いてしまった。てか俺の方が
もっと泣いていた。N子が隣に来て、俺の手を握ってくれた。

87: 2014/07/26(土)00:23:07 ID:ytBtKxVPc
骨上げも済ませ、N子やT崎と少し話をして、そろそろ帰ろうか、となったとき、

N子「私、いちくんの今の部屋にまだ行ったことない。行ってもいい?」

と言ってきたので、一旦N子の家に帰り、俺の車で送っていくことにした。


家で着替えを済ませたN子を乗せて、俺のアパートへ。駐車場に車を停め、N子を
案内して部屋に入る。俺が礼服を脱いでハンガーに架けていると、突然N子が後ろ
から抱きついてきて、堰を切ったように泣き始めた。
泣きながら、「Y美がいなくなっちゃった」と何度も言っていた。俺は、うん、と
だけ答え、N子に向き合って体を抱き締め、一緒に泣いた。

N子「いちくんはいなくならないよね?一緒にいてくれるよね?」
俺「大丈夫、ずっとN子と一緒にいるよ」
N子「ホントに?ずっとだよ。どこにも行かないでよ?」
俺「大丈夫だって。約束するよ」
N子「うん、ありがとう」

久しぶりにキスした。この日は結局夕方まで抱き合って、時々泣いて過ごした。


その日から俺とN子は、また週末を一緒に過ごすようになった。ドライブしたり、
食事や買い物に行ったり、俺の部屋でDVDを観たり。セクロスはしなかった。N子は
まだそんな気分じゃないだろうと思ったから。

88: 2014/07/26(土)00:25:14 ID:ytBtKxVPc
7月半ばを過ぎ、Y美の四十九日も終わった。

金曜日の夜、N子から「明日、蛍を見に行こう」と電話がきた。蛍って、もう
今からじゃ遅いんじゃないの?確か6月下旬くらいがピークだったはず。
そう告げたが、「でも行きたい」と譲らない。まあいいか、と思って了承。

次の日、土曜日。日が暮れるのを待つ間に早めの夕食を二人で済ませ、高校の
頃に皆で行った、地元ではそこそこ有名な蛍狩りスポットへ向かう。
その川原に着いたが、駐車場には他に停まっている車はなく、もちろん人気も
ない。そして暗い。

俺「やっぱりもう時期じゃないな。諦めてどっか行く?」
N子「せっかく来たんだから、ちょっとだけ歩いてみようよ。もしかしたらまだ
少しはいるかも知れないよ」
俺「そう?じゃ行ってみようか。暗いから気をつけて」

川原の遊歩道をゆっくり歩きながら、草藪の中に蛍の姿を探す。N子はなんだか
必死になって辺りを見回している。まるで子供みたいだ。
でも、結局蛍は見つからず、そろそろ戻ろうか、と俺が言うと、

N子「あ、いた!あそこ」
俺「え?ああ、ホントだ。よく見つけたなぁ」

季節外れの蛍が一匹だけ、丈の高い草に見え隠れしながらふわふわ飛んでいる。
応えてくれる仲間はたぶんもういなくて、その光は寂しそうで、頼りなくて、
それでも精一杯光ってた。

89: 2014/07/26(土)00:26:08 ID:ytBtKxVPc
二人で黙ってその小さな光を見えなくなるまで見送って、N子はなんだか妙に
納得した様子で、俺に向き合って、

N子「ふつつかものですが、どうか宜しくお願いします」
俺「え・・・」
N子「この前の返事。お待たせしました」

そう言って頭を下げた。

俺「うん、ありがとう。こっちこそよろしく」

言ってから、ちょっと思いついて、

俺「ホントに俺なんかでいいの?」
N子「いちくんがいい!いちくんじゃなきゃダメ!」

即答だった。二人で笑った。

車までの帰り道で、ちょっと興奮気味のN子が、

N子「蛍、いたら言おうって決めてたんだ。いてよかったー」
俺「もし今日、蛍がいなかったら?」
N子「さぁ?来年だったかもね」

ホントかよwwwww

それじゃ、ひょっとするとあの季節外れの蛍はY美だったのかもな、と思ったけど、
それは言葉にはせずにおいた。

その夜、ほぼ半年ぶりにセクロスできました。よかったwww

90: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:26:25 ID:agSy4vfFJ
(´;ω;`)グスン

91: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:27:50 ID:GLlw6AFuQ
こんなタイミングで追い付いてしまった…

92: 2014/07/26(土)00:27:57 ID:ytBtKxVPc
長々と自己満足の書き込み失礼しました。これが実は先週のことです。

俺、これまでY美に散々迷惑かけて、世話になって、知らずに酷いこともしてきたのに、
お礼も、謝罪も、一度もまともにできませんでした。

だから、それを今からここに書きます。

あと数レスで終わりますので、よければ最後までお付き合いください。

93: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:28:59 ID:8ahyKzYnI
。・゚・(ノд`)・゚・。
結婚おめでとうと、言わせてください

97: 2014/07/26(土)00:32:25 ID:ytBtKxVPc
>>93
ありがとうございます。でも俺はまだ社会人一年目の若造ですし、
恥ずかしながら貯金もほとんどありませんので、結婚はもうちょっと
先のことになると思います。N子のお母さんにもまだ挨拶してませんし。

94: 2014/07/26(土)00:30:09 ID:ytBtKxVPc
ゆうちゃんへ

君が手紙で僕のことをまーくん、って呼んでくれたように、今ここでだけ、僕も
君のことをゆうちゃん、って呼ぶことにします。昔、よく一緒に駆け回って
遊んでた頃みたいに。

ゆうちゃんの気持ちを知ったときは、本当に驚いたよ。だってそんな素振りは
全然なかったと思うし。
きっと僕がニブイんでしょうね。高校の頃は、彼女とのことで君にもいっぱい
怒られましたから。ごめんなさい。

この一週間ほど、ゆうちゃんとの思い出を振り返っていました。
いちばん印象に残っているのは、小学校の頃。一緒に遊んだ楽しい日々と、君の
笑顔です。本当に、天使みたいだったよ。
君はいつでも、あの素敵な笑顔で僕に接してくれたね。他の友達が変わってしまった
時にも、君は変わらずにいてくれた。僕はそのことでどれほど救われていたか。

今までずっと君には言えませんでしたが、あの頃、ゆうちゃんは僕の心の拠り所でした。

僕は小学校の頃からずっと、ゆうちゃんに、いっぱい助けて貰っていました。
ゆうちゃんは、僕の人生を変えてくれました。
そしてまた、僕の大切なひとも、ゆうちゃんが救ってくれました。彼女と僕とを
巡り合わせてくれたのも、やっぱり君です。彼女はその事で自分を責めていたけど、
僕は感謝してるよ。ものすごく。

いつだって、僕なんかより君の方がずっとずっと辛い思いをしていたはずなのに、
最後の最後まで、僕たちのことを気にかけていてくれたよね。
もし君がいなかったら、僕たち二人は、今頃はもっとひねくれた人間になっていた
ことでしょう。

僕は、君に何かを返せていたでしょうか。いつもいつも、君から貰ってばかり
だったような気がするよ。
残念ながらもう、今から君にお返しをすることはできなくなってしまいました。
だからそのかわりに、君が僕に託してくれた大切なひとを、この先一生守り続けて
ゆくことを君に約束します。

ゆうちゃん、今までほんとうにありがとう。
いつか僕たちがそちらに行く日まで、ゆっくり休んでいてください。

98: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:34:39 ID:8ahyKzYnI
君のような若者だからこそ
こんなに早く一人の女性を大切に想い、
結婚したいと思えたんだと思いますよ

100: 2014/07/26(土)00:37:33 ID:ytBtKxVPc
>>98>>99
ありがとうございます


以上で終わりです。

最初はY美の墓前で、ってことも考えたんですが、歌の歌詞じゃないけど
そこにY美がいるとは思えないし、逆にもしY美がいるのなら、そこには他の
人も大勢いるわけじゃないですか。そんなところで言うのはなんか気まずいし。

それで、その場の勢いでスレ立てようって思っちゃって、書き溜めて、でも
実際始めてみると、俺こんなことしてていいのかなって、ちょっと不安にも
なりましたwww

でもY美の俺への気持ちを知ってるのは俺とN子だけですから、リアルの友人
には絶対話せないですし。

そんなわけで、駄文長文垂れ流しすみませんでした。

101: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:38:52 ID:GLlw6AFuQ
>>100
乙でした
末長く幸せになってくれ

105: 2014/07/26(土)00:44:12 ID:ytBtKxVPc
>>101-104
ありがとうございます。

途中、誰もいなくて不安だったので、大学時代の話はだいぶ端折って
しまいました。不自然に思われた方には申し訳ないです。

それでは、名無しに戻ります。お休みなさい。

103: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:39:53 ID:agSy4vfFJ
おつかれー、お幸せに

104: 名無しさん@おーぷん 2014/07/26(土)00:40:02 ID:BJm9I84XH
乙!!


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